刺繍屋の苦しみ その2
刺繍業界では、刺繍データもしくはデータを作成することをこう呼びます。
何故か?
現在の刺繍機はコンピューター制御になっていまして、主にフロッピーディスクを媒体としていますが、10数年前までは穴の開いた情報テープが使われていました。
テープに開いた穴を読み取りながら、XY座標でX軸方向へ○mmY軸方向へXXmm移動しそこで針が降りて、1針縫う・・・の繰り返しです。
現在のようにPCが普及していませんでしたので、データ作成もたいへんなものだったそうです。
絶対座標を持った電子板にデザインを貼り付けて、先ほどのように座標を追いながらボタンを押す→電子板に繋がれた穴あけマシンがでテープに穴を開ける・・・。
そうして、1つのデザインデータの完成!
この「穴を開ける」という工程から「パンチング」と呼ばれています。
当時はモニターもありませんから、実際にミシンで縫ってみないとどんな仕上がりになるのかわかりません。
仕上がりが悪いからといって修正するにも、テープに穴を開けているわけですからたいへんです。
穴を塞いだり、テープを継ぎ足したり・・・想像を絶する苦労です.
たいへんな時代だったんですよね!
現在のデータ作成は専用のソフトで行っています。
「座標を追う」というところは一緒ですが、1針1針指示してやる必要は無く、デザインのアウトラインを指示してやれば自動的に針落ちを計算して埋めてくれます。
以前なら、作成に一週間程必要だったデザインも、数時間あれば出来てしまいます。
モニター上でシュミレーションなんてことも出来ますので、仕上がりはある程度確認できますし、また、PCデータなので修正や拡大・縮小なんてことも簡単に出来ます。
お客さんもその辺りをよくご存知なので、昔のようにいろんな言い訳が通用しないので、ある意味辛いです。(T_T)
「そんなに簡単に出来るんだ!知らなかった・・・」というお客さん!忘れてください!!
by ykm94731 | 2005-06-22 23:08 | 刺繍屋のお仕事 | Comments(0)