ワッペン用刺繍データ作製講座
時期的には来秋冬のパンチ依頼が来てるはずなのですが、いっこうに現れず・・・遂にクビ?とか・・・。
うちはデータを作るだけで、実際縫われるのは商社さん手配の各工場(主に中国)。
朝からメールや電話で・・・
「〇〇のデータ上がってます?」
「・・・すみません、パンチ作製の依頼自体が来てないんですけど・・・」
何も来ていないのでどうしようもありませんよねえ?(苦笑)
で、実際デザインを作る担当者の方が中国出張で・・・まだデータが出来てないとか?
明日くらいにデータが送られてきて、「納期いつになります?」って感じになるんでしょう。
休み前にやめてよ~!って感じです。(怖)
さて、昨日mamaさんよりご依頼?のありました、ワッペン講座・・・行ってみましょうか?(笑)
おいおい、暇なのか?
・・・。
今回はワッペンのパンチングです。
例によって、完全な僕個人の私見ですので・・・。
今回はかなり長い上に、意味不明な点も多いと思いますので、気合を入れて読んでください!(笑)
まず、データ自体はアップリケ刺繍と同じです。
要は、何らかの形状の生地の「縁をかがる」というデータです。
図案はmamaさんのところから拝借して来ました、数字の「7」。
さて、図案を取り込みまして、まずはアウトラインをとって行きます。
出来上がったランニングの等高線を作ります。
これがワッペン(アップリケ)の型抜き線であり、アップリケを貼る案内線になります。
それから一番最初に作った大外のランニングデータをサテンステッチに変換。
そのあと、アップリケの仮止めをランニングステッチで作って、順番を入れ替えて終了。
データとしては、こんな感じ。
このデータを目的別に分解してみると・・・。
このステッチの終わりは、デザインの一番高いところに持って来ます。
じゃないと、生地が貼りにくいですからね!糸を切る場合は問題ありませんが、ワッペンは糸切りが少ない方が・・・。
2は、貼った生地をとりあえず留め付けるステッチです。
ここでは、皆さんいろいろと縫い方に関するご意見がおありかと思いますが・・・。
まず、貼った生地がズレないように、素早く留め付ける必要があります。
ここでいきなり4番目のジグザグステッチで行っちゃうと、素材によっては生地が動いてしまうことがあります。
(パンチは楽なんですけどねえ?「ちゃんと作れ!」って、毎回オペレーターさんに怒られます。(苦笑))
スプレーボンドの量が少ないとか、そういう問題以外に、アップリケ刺繍の場合だと、
近年シルケット加工など特殊加工を施した生地が多く、「糊が全く効かない」なんてことがざらにあるんです。
なので、素早く一周してキッチリと案内線通りに留め付けたい!ですから最小限のステッチで・・・。
場合によっては、一か所だけ留めて、糸を切って、反対側にジャンプして留め付け・・・。
そこまでしないと動いちゃう素材もあります。
あと、なぜ「V」なのか?ブランケットでもいいんじゃないか?これには理由があります。
ある時、白のブロードを白糸でかがるワッペンを作ったのですが、この仮止めが何となく見える・・・。
そんなクレームがありまして・・・原因としては、
この厚み(色濃度)が表に響いて、盛り上がったり、うっすらとそこだけ濃くなったり・・・淡い色の時は特に・・・。
また、上から被さってくるサテンと同じ糸方向というのも問題で、2色のアップリケの仮止めを1色で済ませた時、
違う色が見えるという現象が出たり・・・。(「なんちゃってパンチング講座 その2」をご参照ください!)
そんなことがあってから、「V」で留めるようになりました。
3は安心料的なものですね。あると安全。ちゃんととまっているかどうかの確認もし易いです。
4は、素材によって必要か必要でないか?フェルトや合皮等の、解れない生地の場合はいらないかも知れませんが、
ブロードやサテンなんかの織物はどうしても解れやすいので、これも安全のために入れますね。
で、最後にサテンですが、これもデザインで最初から決まっている振り幅にするのが基本ですが、
あまり細いと、パンク(縁かがりが外れる)や生地のはみ出しが起こりますので、要注意ですね!
素材にもよりますが、2~2.5mmが限界かと・・・。
また、逆に振り幅が広くても、出来るだけワッペンの外側まで生地が入っていた方が安全ですし、
出来上がった時の「芯」のような役割もしてくれるので、形状が崩れにくいです。
では、実践です。たまたま1枚だけのワッペンの発注がありましたので・・・。(苦笑)
ワッペンシートを使ったワッペンです。
また、実際に貼り付ける生地の色に合わせた方がイイ場合もありますし、どうしても色が合わない場合は、
色の種類の多い、ポリエステルサテンなんかを代用することも出来ます。
今回のワッペン生地はエンブクロス。ヒートカットしないと、必ず解れますので、メジャーな素材ですが要注意!
で、ワッペンシートの上を歩かせた案内線に合わせて、スプレーボンドを使って生地を貼り付けます。
今回の場合、あとから中の文字を縫うと、パッカリング(皺)が出てしまうので、仮止めした後に中を仕上げます。
そのあと、縁をかがって、
中央の文字はワッペンのなるべく内側にしましたので、このままでもOK!
注意点としましては、ワッペン素材がブロードやツイルのような解れやすい生地の場合は、しっかりと芯貼りをすること。
エンブクロスやサテン等のポリエステル素材の場合はヒートカット必須です。洗濯したら、必ず解れます。
また、最後に半田ごてを使ってカットしますので、刺繍糸はレーヨン。ポリエステルやアクリルは溶けちゃいます。
下糸は綿糸等の、熱に強い糸を使用してください!
あと、生地のカットは、案内線だけをプリントアウトして、それを生地に貼り付けてハサミカットするといいですよ!
そんなところでしょうか?
何か抜けてるかなあ?まあ、誰かが補足してくれるでしょう!
以上、長々と最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
by ykm94731 | 2010-11-19 18:35 | 刺繍屋のお仕事 | Comments(14)
ワッペンシートにアップリケのようにしてワッペンって作るんですか!?
恥ずかしながら始めてしりました(滝汗)
これまで生地に直接打ってヒートカットしてました、私。
確かにワッペンシートの方が切り口が綺麗そうですね!
皆さんのブログはホント勉強になります。
エンブクロスやフェルトにダイレクトってのもありますが、縁周りが硬化したり、綺麗にならないので、面倒ですがこういうやり方に・・・。
何が正解ってのはないので、お客さんが喜んでくれたらそれでOK!ですよね?
案内線は、5回も有るのですね。(驚)
もう一度、案内線を内側からやるっていう所から作り直して、来週にも再度挑戦してみます。
本当に、お忙しいのにありがとうございました。
とても判りやすく、先生のやり方でしたら、安心して作業が出来そうです。
との話で、以前はエンブクロスに直接で芯にハイボンを使っていたのですが
剥がれてくる恐れがあり使う様になりました。
一度型を抜いているので綺麗になりますよね♪ 手間ですけど生地のロスも
無くていいやり方だと思います。
生地のカットは私なりにブログにUPしてみました。パンチは「うん!うん!
」とうなずいて
たまに 「う~ん 理にかなってる」とぶつぶつ言っていました。(こわい)
いろいろなやり方がありますよねえ?
今はいろいろ情報交換が出来て、資材なんかもネットで発見出来たり・・・イイ時代になりました。
いろいろやってみて、その失敗や経験が積み重なって、自分のスキルを高めてくれるんだと思います。
頑張りましょう!
パンチはまだまだよくわかりません・・・一生わからないんでしょうねえ?
そういうものだと思います。やっぱり自己満足?が一番精神衛生上イイんじゃないでしょうか?(笑)
専務の説明の仕方は上手です。
加工・パンチは出来ても人に伝授するのって難しいですよね。(苦笑)
私の場合、自分は分かってるけど・・・上手く伝わらない!
教えるのが下手なんですよね~(笑)
その画像をビットマップ保存して、コーレルからエクスポートやったっけ?で刺繍ソフトにもってきて、パンチするってな工程です。
縁取りをサテンで埋める場合、留め縫いはおおかたランニングで走ってます。
コーレルを駆使されてるんですねえ?凄いなあ・・・僕は全然駄目。
等高線(オフセット)等、全てパンチソフトでやっちゃいます。
留め縫いはランニングですよ・・・あとはかなり手抜きですが・・・。(苦笑)