刺繍屋のツライおつとめ その1

今年の冬は何時になく寒いですねえ。

大阪って例年けっこう暖かいんですが、今年は雪が降ったりたいへんです。

異常な寒波のせいで、年末の忙しい時期に輸送関係が麻痺してしまって、通常翌日には到着する荷物が3~4日かかったり・・・大荒れの年の瀬ですね!


さて、そんな寒い時期になるといつも現れる作業があります。

洗い」です。

刺繍屋の「洗い」ですから、ジーンズの洗い加工みたいな特殊なものではありません。

通常刺繍する際には何らかの芯地を生地の下に敷いて刺繍するのですが、それを完全に除去しなくてはならない場合に(例えばタオルとか)、水で溶ける芯地を使います。

ハイセロンと言いまして、澱粉で出来た半透明のビニールです。

また、これを生地の上に重ねて刺繍すれば盛り上がった3D刺繍が出来ます。

いろんな用途に使えるのですが、最終的に「洗う」という工程が増えるのでけっこうたいへんです。

しっかり洗わないと洗濯糊のようにパリパリになってしまいます。

うちでは2日ほど水を入れ替えながら浸しておいて、最後は試験管洗浄機なる物に放り込んで超音波振動で繊維の中まで洗浄するといったことをしています。

それから乾燥です。これが大問題!

小さな物の場合はいいのですが、身頃本体みたいな大物を洗う場合は干す場所がありません。

これは近くのクリーニング屋さんにお願いしています。

いずれにしても、なかなかたいへんなモノです。

しかもこんな寒い時期に・・・。

夜中に起きて、水を入れ替えたりしていると「何でこんなことせなあかんねやろう?」と、涙が出そうになります。

ちなみに、お湯で溶けるソルブロンという芯地や糸なんかもあります。

こっちは強度的にはかなり強力でレースを作る際等に使います。

しかし、後がたいへん・・・「煮沸」が必要です。

毎晩、母親が鍋に入れて炊いてたのを覚えています。(笑)


プリント屋さんほどではありませんが、刺繍屋にもこんなケミカルな1面があるんですよ。

出来れば避けて通りたいカテゴリーですが・・・。

by ykm94731 | 2005-12-27 08:03 | Comments(0)