紙と刺繍屋
何故、刺繍する際に芯を敷かねばならないのか?
単なる直線ステッチ刺繍だったり、生地が布帛(伸びない生地)だったら必要ないかもしれません。
ですが、一般的なロゴ刺繍、ネーム刺繍のような左右に振るサテンステッチだったり、
下の生地が見えないように埋めていくような刺繍だったり・・・。
また、生地がカットソー(伸び縮みする)だったら、糸のテンションに負けてしまいます。
そこで、生地の補強の意味で紙を敷いて刺繍するのです。
刺繍が終わったあとの紙は、刺繍部分の中にそのまま残り、刺繍の形状を保つ骨組みの役割を果たします。
そういう意味では硬い程イイかもしれません。
でも、そのまま刺繍内部に残りますし、要らない部分は取り除かねばなりませんので程々に・・・。
また、刺繍機は台の上の枠が動きますので、その枠に紙を張り、その上に生地を載せて縫います。
その際に、生地の位置を保持するという目的でも使われています。
「紙なんて古いんじゃないの?今はビニールが主流で・・・」
そんな馬鹿げた話をよく耳にしますが、全くの誤解です。
刺繍屋は様々な条件に合わせて紙とビニールを使い分けています。
スポーツマーキングのようにディティールにこだわるデザインでは、紙のようにしっかりした芯地でないとうまくいきません。
ビニール芯は弱いので、縫っていくうちに切れてしまったりして、芯地の役目を果たせなくなります。
直線が綺麗に出なかったり、細かな文字が読めなかったり・・・。
逆に、Tシャツの全面に入るような、隙間が多い細く繊細なデザインであったら、簡単に除去出来ない紙よりも、
刺繍の中に残っても柔らかく、熱処理である程度剥離出来てしまうビニール芯を使うことになります。
紙にもビニールにも厚さに種類があり、その刺繍・生地に対して最適なものを選定して使用しています。
また、うちの場合は紙にもかなりのこだわりがありまして、昨年廃業された糸屋さんから仕入れていたのですが、
その糸屋さんの廃業に伴い廃盤になるとのこと・・・製造元の在庫は全て確保しましたが、数ヶ月分・・・どうする?
かなり焦っております。
紙は針と同じくらい重要な要素を占めていまして、それがかわるだけでも、刺繍の仕上がりに影響が出てきます。
しっかりしてるけど、硬過ぎず、刺繍が終わったあとには千切りやすい・・・イイ紙だったんです。(涙)
現在、同じような商品を糸屋さんに捜索して貰っていますが、果たして?
「きっと何とかしてくれる!」
そう信じて疑いません!期待してるで~!(笑)
おっと!今日は嫁の3?回目の誕生日!いろいろ準備が・・・。(涙)
ということで、また明日~!
by ykm94731 | 2010-01-13 19:43 | 刺繍屋のお仕事