加工屋の怖い怖いお話
最近弊社で起こった、加工の不具合に関しまして、ようやく落ち着きましたので、今後の皆さんのお仕事の為にも、
お恥ずかしいお話ですが、報告させていただきます。
GWにサンプルを作った秋物の本生産。
刺繍+ラインストーンのお仕事だったのですが、数百枚の加工を終えてちょうど一週間程過ぎた頃、
お客さんから「ラインストーンが取れてんけど・・・」
韓国製のラインストーンは、糊の薄い・濃いの問題が稀にありまして、不良品が混ざってたのかなあ?
そんな感じだったのですが、それから数日のうちに、「取れた!」という商品がどんどん返品され・・・。
問題が大きくなる前に、店頭からも全品回収&検品。
加工には問題は無かったと思うんですが・・・。
で、いろいろ調べて行く内に、生地との相性が悪いことが判明。
通常、ラインストーンを使う商品は、商品が出来上がった段階で、接着堅牢度の試験をお客様がされるのですが、
どうも忘れられていたみたいで・・・。
最終的に、特殊な糊で接着したりで修理対応。
毎日、そのお客様からの電話が鳴るたびに戦々恐々・・・寿命の縮まる思いでした。
それはそれで何とか解決したのですが、ちょうど一カ月程前、また別のお客様のお仕事で不具合が発覚。
うちはワッペンやアップリケの材料として、よく合皮を使うのですが、
2,000個ほどのワッペンだったのですが、ワッペン状態で納品させてもらって、海外縫製で叩き付け。
勿論、出荷前にはキッチリと検品をして・・・。
そんなお電話を頂いて、社内に残っていたワッペンをチェックしてみると、変色してる・・・。
生地は10年近く使ってきた、堅牢度試験も通っている有名メーカーさんの合皮。
洗った訳でもないし、何で?
すぐに素材メーカーさんに電話・・・。
「淡色と濃色の生地を重ねる等、触れ合うような状況において、濃色の色が淡い色の方に移染する。
ポリエステルの同じ組成の生地の場合、そういうことが稀に起こるんです・・・」
そういう見解・・・初耳でした。
こちらの生地に限らず、原理的にそういうものなんだそうです。
見本帳にも明記されていませんし・・・メーカーさんの説明不足ということで、謝罪していただきましたが、
とりあえず、出来上がってしまっている商品を何とかしなくてはなりません。
その汚れを落とす方法があれば、まだ良かったのですが、いろいろ試してみましたが、全く効果無し・・・。
それからの数週間というもの、どれだけ苦しかったか・・・。
ペナルティーとなると数百万・・・胃の痛い毎日でした。
最終的には、うちの得意先さんの尽力で、「不問にします」ということで、やれやれ・・・。
まあ、あってはいけないのですが、いろいろあります。
「これは罠か?」そんなお仕事もあります。
もし、皆さんが上記のような加工をされる場合、そういう可能性があるということを、頭の片隅に置いておいて下さい。
いろんな「未知の脅威」を想定して、不具合が起こらないように気をつけてください!
以上です。
・・・「脱!刺繍屋」が、「没!刺繍屋」にならなかったことを一緒に喜んでやってください。(苦笑)
by ykm94731 | 2010-11-10 18:02 | 戯言(たわごと) | Comments(14)
お察しいたします。
この加工賃でこの金額のリスクを背負うのは理不尽にも思いますが、好きで(?)やってることなんでね。
いやなら辞めろって話で、誰もとめてもくれませんからその辺全部背負っていくしなかいんでしょう。
んー、考えただけでお腹がいたくなる話です。
お互い頑張りましょう!
どんな話だろうと色々妄想していましたが。。。結果的に泣ける話でした。
私のブログも失敗だらけだけど、まだ金銭的なダメージが有るわけではないので・・・
リスクの多い職業だと肝に銘じなければいけませんね。
深い話ありがとうございました。
リスク多いですよねえ?
今回の事件は、ほんと寝耳に水で、「ええええええっ?」って感じでした。
久しぶりに、眠れない夜が続きました。
そうならないように、がんばりましょうね~!
あっ!今のところ、辞める気はありませんので・・・行くところ無いし・・・。(苦笑)
ダーリンは大丈夫ですかあ?(笑)
金銭的ダメージも、下手をすれば相当なものになったでしょうが、いろいろ気をつけてても、
こういうところで起こっちゃうと、対処しきれないので、かなり歯痒いです・・・。
まあ、無罪放免みたいな結果でホッとしましたが、精神的なダメージは、誰もフォローしてくれませんので。
刺繍屋が、特別リスクが多い仕事だとは思いませんが、いろんなことが起こりうるんだねえ?
そういう認識だけは、皆さんにお持ちいただいていた方がイイかも?
量産の場合,額が..怖いことです.
私の場合は1着のことですが,弁償するとなると40万くらい?個人ではきついです.
婚礼なので気を遣っていますが,気が緩んでいるときももちろんあるので気をつけたいと思いました.
(何かをこぼしてしまうとか,汚してしまうとか,生地にキズをつけてしまうとか)
失敗談も役に立つお話ですよね.ありがとうございました.
ほんと、たいへんでした・・・何で、何で?って・・・。
タイミング的に、やり直せる時期・ブツならよかったのですが、
裏地の付いたもの2千と言われると、もうお手上げです。
敏腕営業マンさんに救われましたが、心臓に悪過ぎです・・・。(苦笑)
婚礼用も、納期的に考えると、かなりたいへんですよねえ?
気をつけてても、こういうことになることもあるんですから・・・ほんと、怖いです。
詳しいことはわかりませんが、ポリエステルで組成が同じものどうしの場合は、起こりうるらしいです。
ホントかなあ?って感じですが、本当らしいです。
合皮をよく使われる靴メーカーさんでは一般常識らしいですが、ちゃんとメーカーさんが説明しといてくれないとねえ?
胃が痛くて眠れません。専務の心境は死ぬほどわかります。
ソワソワして仕事に集中できないですよね。
1つのトラブル(クレーム)が、工賃を持っていってしまうから
赤字になってしまいますよね(滝汗)
僕は刺繍屋時代におぞましい経験があります。
その時は損害賠償まで発展しました。
それだけならまだいいのですがなんとその責任を社員全員で
負わされたのです。納得がいきませんでした。
責任の所在がはっきりしないままだったので不満がありました。
それにしても素材のことなんて専門家じゃないんだから
わかるわけないのにねえ。逆にPL法で訴える事が出来るんじゃない?(笑)
ほんと、お咎めも無く、良かったです。
うちの場合は原因がハッキリとしましたのでちょっと「スッキリ」ですが、そういうことがあったんですねえ?
まあ、みんな「被る」のは嫌ですからねえ・・・今回は穏便に済んでホッとしました。
誰も故意にそうしてる訳ではないですからねえ・・・。
合皮の話で、貼り付けで縫った後剥がすと ベリベリッと合皮が剥がれました
・・・。 ちょっとしたメーカーのダウンジャケットなのに!
なんとかワッペンをペタペタ貼って何とかなりましたが ちょっと考えてしまいます。素材は知識と経験ですし難しいです。
でも 何にせよ 損害がなくて良かったですね。 おいしいビールで胃をやわらげてください(笑)
ほんと、ビールも喉を通らないくらい・・・そんな毎日でした。(大嘘)
そういうところ、開き直っちゃうB型なので便利ですよ~。
nikkouさんのところは完成品を扱われているみたいなので、かなりリスキーですよねえ?
うちでは滅多にありませんが、終始ドキドキです。
しかし、いろんなことが起こりますよねえ?
何処まで学ばなくてはならないんでしょうか?(苦笑)